在庫管理と保全のハザマに焦点を当てる
『在庫を減らせ』という経営層からの指示と、『部品がなきゃ直せない』という現場の悲鳴の間で板挟みになっていることはないでしょうか?
これまで在庫管理に関する技術コラムを掲載してきました。
在庫管理を行うことは最終的には設備の稼働とコスト関係に繋がります。
本技術コラムでは設備の稼働率と(在庫管理を含む)コストの関係について説明します。
本コラムが「勘と経験の保全」から、「技術に基づいた保全」の第一歩となれば幸いです。
設備の稼働率をあらわす量、固有アベイラビリティは以下のように定義されています。
MTBFは機器が壊れるまでの間隔を表現しています。そのため保全の視点からは機器が故障した後に対応する事後保全のみと関係しています。
MTTRは、担当者が純粋に工具を使い作業をする修理時間を表現しています。
そのため保全の視点からは修理部品を輸送するリードタイムなどは考慮されていません。
これらを踏まえると、固有アベイラビリティは「設計上の強さ・直りやすさ」を表現している量と言えます。
設備の稼働率をあらわす量、運用アベイラビリティは以下のように定義されています。
MTBMは機器が停止するまでの間隔を表現しています。MTBFでは機器の故障による事後保全のみを考慮していたのに対し、MTBMは計画保全による一時停止など故障以外の機器の停止をすべて考慮します。
MDTは、設備が停止してから再稼働するまでの時間を表現しています。MTTRが作業員の修理時間のみであったのに対し、対策を練る会議時間や修理部品を輸送する時間(リードタイム)などをすべて考慮します。
これらを踏まえると、運用アベイラビリティは現場でのリアルな稼働率を表現している量と言えます。
MDTは設備が停止してから再稼働するまでの時間を表現しています。
そのため、
上式のように設備が再稼働するまでに必要となった時間の総和です。
MDTが小さくなることが運用アベイラビリティAoが大きな値になる(稼働できている)状態と言えるため、MDTを小さくするための対策が必要と言えます。
設備の稼働率を表現するアベイラビリティには、固有アベイラビリティAiと運用アベイラビリティAoがあることを説明しました。
固有アベイラビリティAiで考えるとMDTを小さくするにはMTTRを小さくすることのみが対策となるため、作業員の方の技術向上のみがフォーカスされることになります。
しかし、リアルな稼働率を上げるためには運用アベイラビリティAoを考慮するほうが正しく、作業員の方の努力によるMTTRの短縮だけでは限界があります。
ところで実際には稼働率が小さくなるような運用をしているケースはどのくらいあるのでしょうか。
「運用アベイラビリティなんて考えたこともないけどうちの設備はちゃんと稼働しているよ」という声も聞こえてきそうです。
設備を稼働させることはその企業にとって必須の要件になるため、稼働はできているケースがほとんどだと思います。しかし、実はその裏では大きなコストを支払っている可能性があるのです。
例えば、
・部品の輸送の時間(リードタイム)
理想:部品の需要予測ができており、すぐ使用できるように
近くの倉庫に保管している。
現実:必要な部品の在庫がなく特急便で部品を購入した。
→コスト増大
・対策方法の検討
理想:過去の保全履歴がデータベース化されており、対策方法が
すぐに決定できる(対策が標準化されている)。
現実:対策方法が共有されておらず経験豊富なベテランしか
対応できないor 対策会議に時間がかかる
→コスト増大 (初動遅れによるMDTが増大の可能性あり)
まとめ
今回は、設備の稼働率とコストの関係についてご説明しました。
ポイントを整理すると、以下の3点となります。
1.アベイラビリティには固有アベイラビリティ(Ai)と運用アベイラビリティ(Ao)があり、目的に応じて適切に使用する必要がある。
2.リードタイムを短縮できるように保全を運用することは、MDTの低減やコスト削減につながる。また、リードタイムの短縮は、安全在庫の考え方に基づく在庫管理コストの低減にもつながる。
3.過去の故障履歴や保全履歴をデータベースで管理・共有することにより、情報収集や部品手配に要する時間を短縮でき、MDTの低減につながる。
これらを実現するためには、設備情報や保全履歴、部品情報などを適切に管理し、必要な時に活用できる環境を整備することが重要となります。
弊社ではこのような保全の管理や共有を支援するツールを取り扱っております。お困りごとがございましたら、お気軽にお問合せください。
保全管理ツールのご案内
カレンダー形式の保全管理システムです。
予定の一括作成や予実管理など幅広い保全管理業務に対応します。
電子帳票ツールです。
Excelで作成している紙帳票をそのまま電子化することができます。
保全戦略策定を支援するツールです。
在庫数最適化のシミュレーションも可能です。





