AIAG-VDA FMEAとは? 7つのステップ、DFMEAとPFMEAの違い、運用のポイントを解説


前回の記事では、自動車業界の品質マネジメントシステムであるIATF16949について解説しました。IATF16949では、製品品質を確保するための実践的な手法として「コアツール」の活用が重視されています。

その中でもFMEA(故障モード影響解析)は、不具合を未然に防ぐための代表的な手法です。 

 

本記事では、FMEAの基本的な考え方やDFMEA・PFMEAの違い、そして近年多くの企業で採用が進むAIAG-VDA FMEAについて解説します。また、AIAG-VDA FMEAの運用において重要となる情報管理の課題と、その解決を支援するe1nsについてもご紹介します。


FMEAとは

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)は、不具合が発生してから対応するのではなく、「発生する前にリスクを洗い出して対策する」ための手法です。

 

品質問題が発生した際に原因を調査して再発防止を行うことも重要ですが、それでは実際に不具合が発生した後の対応になってしまいます。

特に自動車業界では、不具合が市場に流出した場合の影響が大きいため、できる限り早い段階でリスクを把握し、未然に防ぐことが求められます。

 

そこで活用されるのがFMEAです。

 

FMEAでは、「どのような不具合が起こり得るのか」「その不具合が発生するとどのような影響があるのか」「なぜ発生するのか」といった観点でリスクを分析し、優先的に対策すべき項目を明確にしていきます。

 

つまりFMEAは、品質問題への『事後対応』ではなく、『未然防止』を実現するための代表的な手法と言えます。


AIAG-VDA FMEA

FMEAは本来、考え方は共通しているものの、実際の運用手順については明確に統一されたルールがありませんでした。そのため、地域や企業ごとに進め方にばらつきがありました。

 

北米ではAIAG FMEAハンドブック、ドイツではVDA FMEAハンドブックが使用されていましたが、国際的な標準化の流れの中で評価方法が統一され、AIAG-VDA FMEAハンドブックとして広く用いられています。

 

また、AIAG-VDA FMEAでは評価方法も見直されており、S/O/D(重大度・発生度・検出度)の考え方が整理・再構成されています。さらに、リスク低減処置の優先順位は従来のRPN(リスク優先数)からAP(処置優先度)へと変更され、対策の優先順位がより明確になっています。

 

AIAG-VDA FMEAでは、設計を対象とするDFMEAと製造工程を対象とするPFMEAのいずれも、共通の7ステップに沿って分析を進めます。

 

全体の流れを整理すると、以下のようになります。

AIAG-VDA FMEAの考え方として上記7ステップは共通ですが、実際の運用では設計を対象とするDFMEAと、製造工程を対象とするPFMEAを使い分けながら管理します。


DFMEAとPFMEAの違い

FMEAは分析対象によって、設計を対象とするDFMEA(Design Failure Mode and Effects Analysis)と、製造工程を対象とするPFMEA(Process Failure Mode and Effects Analysis)に分類されます。

 

DFMEAPFMEAの違いを以下の表にまとめました。


AIAG-VDA FMEAを効率的に運用するには

AIAG-VDA FMEAは、リスクの洗い出しから対策の実施・管理までを体系的に進められる優れた手法です。しかし実際の運用では、DFMEAやPFMEA、コントロールプランなど複数の情報を継続的に管理する必要があり、運用面で課題を抱える企業も少なくありません。

 

特にExcelや個別ファイルで管理している場合、情報の整合性維持や更新管理が負担となりやすく、FMEA本来の効果を十分に発揮できないケースもあります。

AIAG-VDA FMEA運用でよくある課題

DFMEAとPFMEAの情報連携が難しい

設計段階で作成したDFMEAの内容は、製造工程を対象とするPFMEAにも大きく影響します。しかし、DFMEAとPFMEAを別々に管理している場合、情報の転記作業や更新漏れが発生しやすくなります。

また、設計変更が発生した際には関連するPFMEAへの反映が必要となるため、整合性確認に多くの工数がかかることがあります。

 

過去のFMEA資産を活用しづらい

FMEAは過去の知見を活用することで分析品質を高められる手法です。しかし、過去のデータが複数のファイルに分散していたり、担当者ごとに管理方法が異なっていたりすると、必要な情報を探し出すだけでも時間がかかります。

 

その結果、既に実施した分析を再度作成するなど、非効率な運用につながる場合があります。

 

コントロールプランや特性管理との整合性維持が負担になる

AIAG-VDA FMEAでは、FMEA単体で完結するのではなく、コントロールプランや特性管理との連携も重要です。

 

しかし、これらを個別に管理している場合、変更内容の反映漏れや文書間の不整合が発生しやすくなります。また、監査時には関連文書の整合性を確認するための負担も大きくなります。

FMEA運用では情報の一元管理が重要

AIAG-VDA FMEAの効果を最大限に発揮するためには、DFMEA・PFMEA・コントロールプランなどの関連情報を効率的に管理し、部門間で共有できる仕組みが重要です。

 

こうした課題の解決を支援するのが、当社が取り扱う品質管理ソリューション「e1ns(アインス)」です。

e1nsによるAIAG-VDA FMEA運用支援

e1nsでは、DFMEA・PFMEA・コントロールプラン・特性管理などの品質情報を一元管理できるため、情報の重複入力や更新漏れを抑えながら、効率的なFMEA運用を実現できます。

 

また、過去の分析結果を資産として蓄積・再利用できるため、分析品質の向上と工数削減の両立を支援します。

Excel・属人管理からの脱却へ。FMEA・CPを一元化し、
IATF16949審査に強い品質体制をクラウドで構築します

まとめ

AIAG-VDA FMEAは、DFMEAやPFMEAを体系的に進めることができる標準化されたFMEA手法です。リスクの見落とし防止や分析品質の向上につながることから、多くの企業で導入が進んでいます。

 

一方で、FMEAは作成して終わりではなく、設計変更や工程変更に合わせて継続的に運用していくことが重要です。AIAG-VDA FMEAの効果を最大限に活かすためには、分析手法だけでなく運用の仕組みづくりにも目を向ける必要があります。

 

 

本記事が、AIAG-VDA FMEAの理解や導入・運用を検討する際の参考になれば幸いです。


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