昨今、半導体集積回路(以下、IC)は多くの製品に組み込まれています。
その製品が高い安全性を求められるシステムに組み込まれている場合には、
安全分析を行うことが要求されます。
本稿では安全分析で重要になる故障率と機能安全について述べます。
・ 故障率について
一般的に部品の故障率は初期故障、ランダム故障、摩耗故障の3つの領域に大別されます。
初期故障は時間と共に故障率が減少していく領域を指します。製造時の不良品を含むなどロットのばらつきにより故障率が大きくなる傾向にありますが、時間経過とともに良品のみが残り故障率が小さくなっていきます。品質を保つための対策としてスクリーニングにより不良品を取り除くことが効果的です。
ランダム故障は時間によらず故障率が一定の領域を指します。市場に出回る半導体部品は上記スクリーニングを経てランダム故障領域の状態で出荷されます。ランダム故障時の故障率は故障率計算ハンドブック(SN29500、IEC61709、IEC TR 62380など)を用い、定量評価することができます。
摩耗故障は時間と共に故障率が大きくなっていく領域を指します。故障率が大きくなり危険であるため、一般的には摩耗故障領域に入る前に想定寿命が設けられます。
・ 機能安全について
機能安全は人的、財産、環境などへのリスクを許容可能な範囲に低減する安全方策のことです。
機能安全評価は国際規格に基づき実施されます。
例えば、
・設備、プラント向け:IEC61508
・自動車向け:ISO26262
・PLC向け:IEC61131-6
など、分野ごとに適した規格に準拠することが求められます。
機能安全対策のための安全分析の代表的な手法の1つにFault Tree分析があります。
Fault Tree分析はトップにハザードを定義し、それらが発生する原因となるゲートやイベントをツリー構造で記述していく手法です。Fault Treeを用いると共通原因故障や安全機構などを簡単に記述できることが特徴です。また故障率を定義することで定量評価を行うことも可能です。
■ 関連製品
弊社は信頼性工学に基づく信頼性・安全性・可用性評価を支援するためのソフトウェア
Reliability Workbench (RWB)、Availability Workbench(AWB)をご提供しております。
半導体をはじめ、自動車、鉄道、航空やプラントなど幅広い導入実績があり、
豊富な機能群と直感的なユーザ・インターフェースを備えています。
RWB、AWBは機能ごとに複数のモジュールによって構成されています。
下記にてICの故障率計算・安全性評価に役立つモジュールをご紹介いたします。
■ RWB Predictionモジュール
Predictionモジュールは、SN 29500やIEC 61709を含めた各種信頼性ハンドブックに基づき部品パラメータや温度条件を用いた故障率(FIT値)やMTTFの計算を支援するツールです。
https://www.wavefront.co.jp/system_i/rwb/rwb01.html
● Predictionサンプルイメージ
■ RWB Fault Tree Analysis (FTA) モジュール
Fault Tree図を用いて、対象のリスク、信頼性、IEC61508やISO26262で要求される安全性評価を
実施することが出来ます。
https://www.wavefront.co.jp/system_i/rwb/rwb04.html
● FTAサンプルイメージ
■ AWB Weibullモジュール
Weibull分析により故障率を算出することができます。2-parameter Weibull、3-parameter Weibull、Bi-Weibullなど複数の分析手法に対応しています。
https://www.wavefront.co.jp/system_i/awb/3_WEIBULL.html
● Weibullサンプルイメージ
■ AWB ALTモジュール
ALTモジュールにより加速試験の評価を行うことができます。加速試験の評価によりスクリーニングに用いる温度、電圧、時間などを見積もることが可能です。
https://www.wavefront.co.jp/system_i/awb/7_ALT.html
● ALTサンプルイメージ
● お問合せ先
株式会社ウェーブフロント
営業部 担当:張
メール:sales@wavefront.co.jp
TEL:045-682-7070