故障率と信頼性情報の関係
下図に、故障率と、信頼度、故障確率密度、不信頼度の関係を示します。
図1 信頼性評価で用いる指標
【説明】
故障率と信頼性情報の関係を考えるために、摩耗故障を有する機器について考えます。
1.ある機器の故障率が、下図の特性を示すものとします。 故障率の最初は、偶発故障を示し
ますが、途中から摩耗故障を有するものとします。 横軸は、時間です。
図2 故障率
2.項番1に示す特性を持つ機器を100台設置したものとします。 100台の機器は、項番1
に示す故障率で故障し、時間とともに生存数が少なくなります。
特に途中からは、加速度的に生存数が減少します。
図3 生存数
3.生存数は、どの様な割合で減少するのでしょうか。 それは、瞬間での故障数を参照すれ ば判ります。 ある瞬間の故障数は、生存数 × 故障率 で求まります。
この故障数を横軸時間のグラフで表すと以下のとおりとなります。
図4 故障数
ここで、留意すべき点として、故障数は、現在の生存数に故障率を掛けていることです。
初期台数の100に故障率を掛けるものではありません。
4.故障数を積み上げることにより、設置時からの累積故障数が判ります。 横軸を時間とし、
累積故障数をグラフに表すと以下のとおりとなります。
図5 累積故障数
5.以上は、100台の機器についてのお話でした。これを一般化するために、 全体の初期台
数を1とします(規格化)。
この操作により、 それぞれは、確率と考えることが出来ます。
以下に、変更後のグラフを示します。グラフの形状は同じです。最大値が異なっていま
す。信頼性評価の世界では、それぞれを信頼度、故障確率密度、不信頼度と呼びます。
図6 信頼性評価指数
覚え方として、信頼度は生存数、故障確率密度は、瞬間の故障数、不信頼度は累積故障数と関
係していると考えると、イメージがわくと思います。
上図の不信頼度グラフに記載の▽マークは、B-Lifeと呼ばれる指標値です。 不信頼度(0~
1の範囲の値)に対して、パーセンテージを指定し、 指定されたパーセンテージへの到達時間
を表します。
例えば不信頼度が10%(10台中1台目が壊れる時間でB10といわれる)に到達する時間は、
2年(17520時間)を表す場合、「B10は17520時間」の様に用い 、「B10で検査を実
施」などの様に用います。
まとめ
以上をまとめると、信頼度、不信頼度、故障確率密度と故障率には、密接な関係があり(必要
に応じて見方を変えたもの)、何れかが判ると他の指標も判ります。
CMMS/EAMを用いて、故障を管理している場合、時間軸に対する故障数を集計することが出
来ます。時間軸に対する故障数が判れば、故障率、信頼度、不信頼度の時間依存が判ります。
この特性を生かした故障分析の手法にワイブル分析があります。
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