ワイブル分布は、製品の信頼性や寿命を評価するために使用される統計的手法です。
故障情報を入力とし不信頼度を求められます。
不信頼度が判れば、故障率、信頼度及び故障確率密度も知ることができます。
ワイブル分布
ワイブル分布を説明するために、以下の状態を考えます。
機器(全て同機種、同じような環境、負荷状況も似ている)が8台存在するとします。
8台の機器について故障管理を行っているものとします。
8台の機器の故障履歴を参照すると以下のとおりとなっているとしましょう。
図1 故障情報
図1中の×印は、故障を表します。「・・・」は、正常に稼働していることを表します。
機器1は、1年目で故障、機器2は、2年目で故障の様に機器8まで管理が出来ています。
故障の状況を評価するために、上図の状況をヒストグラムで表すと以下のとおりとなります。
図2 故障件数ヒストグラム
1年目に1台が故障、2年目に2台、3年目がピークで3台壊れています。
この故障数に関するヒストグラムを一般化して表します。
まず、考えられるのは、故障を正規分布として考える場合は、以下のとおりとなります。
図3 故障数正規分布近似
横軸は、時間です。タテ軸は、発生確率密度です。中心(ピーク)は、3年目に存在し、左右にすそ野が広がっています。ここで、問題が発生します。 正規分布を用いて、故障の発生数を近似する場合、中心を境にして両側(左右)が同じ確率になっています。
機器の故障は、弱いところから壊れるなど、偏りが存在するため、正規分布の様な左右対称ではなく、偏りを表現できた方が実際の故障発生数に沿ったものとなります。
故障の発生数の偏りを表現するために、故障分析ではワイブル分布を用います。
図4 故障数ワイブル分布近似
ワイブル分布を用いることで、故障の発生数の偏りを考慮した故障確率密度として表現できるようになります。
「故障率と信頼度情報の関係」で説明したように故障確率密度が判ると不信頼度を求めることが出来ます。
不信頼度は、故障確率密度の累積です。以下に、図4を累積することで得られる不信頼度を示します。
図5 不信頼度
図5の横軸は、時間、縦軸は、不信頼度(故障確率密度の累積)です。
本不信頼度グラフを用いることで、時間が特定できれば、すでに故障している機器の確率(数量)を知ることが出来ます。保全計画を策定する時に、いつごろ、何%が壊れるのかの推定に用いることが出来ます。
図5(不信頼度のグラフ)を作成するのは大変ですので、工学上は、以下の方法でワイブル近似を実施します。 図5(不信頼度のグラフ)の不信頼度曲線が直線になるように横軸、縦軸を座標変換し、グラフを書き直すと以下のとおりとなります。これを確率紙と呼びます。
図6 確率紙
実際の手順は、今までの説明を前提として、次のとおり実施します。
各機器の故障までの時間を昇順に並べ、累積値を確率紙の上にプロット(図6中の赤い点)します。
確率紙上へのプロットが終了したら平均となるような直線を適当に選んで引きます(最小二乗法)。
この直線が不信頼度となります。
すなわち座標を元に戻せば、図5に示した不信頼度となり、微分したものは、 図4の故障確率密度になります。
不信頼度と故障確率密度が判れば、故障率のグラフを描くこともできます。
故障率は、故障確率密度を信頼度で割れば算出できます。
信頼度は、1-不信頼度で計算できます。
ただし、何れの指標も時間の関数となっているため、手動で実施すると大変です。
ワイブル分析ツール
弊社ではAvailability Workbench(AWB)を取り扱っております。
AWBのWeibull分析モジュールを用いると簡単にこの手順を実施できます。
以下に分析の例を示します。
図7 ワイブル分析ツール(確率紙)
図7は、確率紙形式の不信頼度(故障確率密度の累積)です。
Weibull分析モジュールを用いると、不信頼度の他に、 故障率や故障確率密度も簡単に参照できます。
以下に故障率と故障確率密度を示します。
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図8 ワイブル分析ツール(故障率、確率密度)
図8を参照すると、グラフの横にη(特性寿命パラメタ)、β(形状パラメタ)に関する情報が参照できます。
ワイブル分析では、このパラメタが重要となります。
βは、約2となっています。 この場合、図8の故障率の様に単調増加の傾向を示します。
βが2より大きくなればなるほど摩耗故障の特徴を示すようになります。
そして、βは、TBMの実施判断基準として用いることができます。
また、「故障率と信頼性情報の関係」で説明したB-Life値もグラフの右側に計算されています。
B10(不信頼度が10%に到達するまでの時間)は、1.017E4時間(約1.2年)が報告されています。
ワイブルボード
ワイブル分布をダッシュボードで表現することで、データの可視化と分析を効果的に行うことができます。
弊社ではBIダッシュボード「MotionBoard」を取り扱っており、ワイブルボード構築の提案を行っております。
MotionBoardでは多彩なグラフやチャートによりワイブル分布や故障率、信頼度のグラフを柔軟に表現できます。
また、リアルタイムにデータの取り込みが可能なため、最新の故障データや稼働データに基づいて分析を行うことができます。データが更新されるたびにダッシュボードも自動的に更新され、常に分析結果を提供します。
図9 ワイブルボード例
まとめ
本説明では、故障情報を元に、ワイブル分析を行うことを説明しました。
弊社では定期的にワイブル分析の無料セミナーを実施しております。
より詳しく知りたい方は、以下よりお申し込みください。
Availability WorkbenchのWeibul分析モジュールやワイブルボードに
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